「営業はいらない」を読んで

<読書メモ>
・営業マンを多く抱えるJTBは「2022年までに従業員数を自然減と採用抑制で2000人程度減らす」という方針を2019年に発表。
・医療業界では営業の代名詞と言えるMR(医療情報担当者)を代替するサービスが既に浸透している。
・営業マンがテクノロジーに代替されるといったレベルの話ではなく、営業活動自体が真の意味で不要になっていく。
・野村證券がわかりやすい。金融商品というものは、もうすっかりコモディティ化している。どこで誰から買っても大差がない。
・インターネット証券であれば、人件費がかからない分、手数料が安くなる。かくして、インターネット証券はシェアを一気に拡大した(インターネットとは情報伝達コストを限りなくゼロに近づけることができるツールである)。
・最高のエクスペリエンスを提供できる会社が行き着く先は「営業をする必要すらない世界」である。
・テスラ社はSNSに全く広告費をかけていない。顧客は自らテスラ社の製品情報を取りに行く。だから彼らに営業は不要なのだ。
・2019年の春、製薬会社の6割がMRの新卒採用を見合わせている(MRの数は2013年度の6万5752人をピークに、6年連続で減少し、2018年度末には5万9900人となった。
・MRの数をここまで顕著に減らした裏には実は「MR君」というWebサービスの存在にある。
・「MR君」とは、従来はMRから医薬品を購入していた医師の動き(MRと医師のやりとり)をWeb上に代替したサービス。MRの営業活動をそのままインターネットで実現することを目的につくられている。
・日本の営業マンの顧客との面談やサービスに使われている時間はわずか25%で、移動が19%、書類作成や会議に費やされる時間は54%にのぼっている。
・一方、アメリカの営業マンは約42%の時間を顧客との面談に使っており、移動は35%、書類作成や会議に費やされる時間は20%にすぎない
・セールステックツールは使い倒さない手はないと思えるほどで、営業プロセスはテクノロジーに殺されるということを、身をもって感じる。

<所感>
「営業はいらない」というタイトルは衝撃的ですが、金融や医薬品業界などテクノロジーと親和性の高い業界では既にそうした現象が進みつつあることを事例を用いながらわかりやすく教えてくれる本です。

住宅業界では下記のような、近未来に向けた芽が出始めています。

・リノベーション
リノベるが、AIのレコメンド機能を活用し、デザインや概算価格まで住まいを自動提案するオンラインサービスを2020年1月に導入。

・新築
ダイワハウスがWeb限定の住宅商品「ライフジェニック」(複数回にわたる打合せを省き、ライフスタイルにマッチする外観・インテリアデザインを提案するサービス)を2019年11月に導入。

住宅業界において、営業スタッフが突然必要なくなるわけではありませんが、テクノロジーの進化や営業スタッフの代替となるサービスの登場により、営業スタッフが減っていく可能性があるということも含め、将来を構想していく必要があると考えています。ウィズ・コロナの時代となり、リモートワークをはじめ働き方改革が一気に進み、より一層、現実味を帯びてきました。

この記事を書いた人

コダリノ