「アフターデジタル(オフラインのない時代に生き残る)」を読んで

新型コロナウィルスが感染し始めた頃、「オフラインのない時代に生き残る」というサブタイトルに引かれて一気に読了しました。昨年3月出版の本であり、続編「アフターデジタル2」と読み比べると、こちらが入門編という印象です。ウィズコロナでデジタル化やDXが加速した今だからこそ、示唆を与えてくれます。

<読書メモ>

・世界の変化において一番重要なことは「オフラインがなくなる世界の到来」です。

・ビフォアデジタル=リアルでいつも会えるお客様がたまにデジタルにも来てくれる。

・アフターデジタル=デジタルで絶えず接点があり、たまにデジタルを活用したリアルにも来てくれる

リアル世界がデジタル世界に包含される現象=「アフターデジタル」

オンラインとオフラインが融合し、一体のものとして捉えた上で、これをオンラインにおける戦い方や競争原理として捉える考え方=「OMO(Online Merges with Offline、または、Online-Merges-Offline)」

・アフターデジタルでは、オンラインが起点であり、ベースである

・日本企業では、「リアルで顧客と接点があり、たまにオンラインで会える」といったビフォアデジタル的な捉え方にとどまっています。

・日本ではデジタル側が土台になっているという前提条件もなく、デジタル接点もまだ少ないためオンラインの融合と言ってしまうと「今あるオフラインを軸に、オンラインをくっつければよい」と考えてしまいます。

・オンラインとかオフラインとか、そのようにチャネルで分けて考えてはいないです。そもそもそういうチャネルで分けた考え方はすごく企業目線だと思っています。今の時代はOMOといも言われるようにオンラインとオフラインは既に溶け合って違いはなくなりつつあると考えるのが当たり前なのです。顧客はチャネルで考えず、その時一番便利な方法を選びたいだけですから」(中国有数のオンライン自動車販売「ビットオート」戦略部門のコメント)

・ユーチューブを使った教育はヒューマナイズド・エデュケーションだ(教育の人間化)」(教育系非営利団体「カーンアカデミー」創業者のコメント)

※補足=一見無機質に見えるけど、生徒が自分自身のスピードで学ぶことができるし、何度も繰り返し聞くことができる。一人ひとりにきめ細やかな対応ができているという意味。

・最適なタイミングで、ユーザーに対して日本らしい「人の手厚い個別対応や心遣い」を補うことができれば、私たちは「世界最高の良い体験」を提供できるようになるでしょう。

<所感>

 2019年3月出版の本ですが「オフラインのない時代に生き残る」というサブタイトルに引きつけられ、一気に読了しました。

 エストニア、スウェーデン、中国などデジタル先進国ではリアルとデジタルを分けてとらえるのでなく、デジタルの中にリアルがあるという現象になっており、遅かれ早かれ日本もそうなると警鐘を鳴らしています。つまり、オフラインとオンラインが逆転する世界になるということです。

 「インターネットをどう活用するか」ではなく、オフラインがなくなるということをあえて想定した上でビジネスの可能性を探るべきだと論じています。「顧客はその時一番便利な方法(最適な方法)を選びたいだけ」とありましたが、くしくもWithコロナで顧客がステイホームという意識になってしまった今、最適なタイミングで最適なコンテンツを最適なコミュニケーションルートで提供するという点において、示唆を与えてくれていると思います。

この記事を書いた人

コダリノ