事業立ち上げ期から到達形までの壁(リノベ事業2億→5億→10億円)

 創業期はもちろん、事業の立ち上げ期に「社員に任せるわけにいかない」「クロージングは自分がやる」という強い思いを持ってらっしゃる経営者は少なくありません。それ自体、全否定するつもりはありませんが、業績を拡大していくという方向性なら、この状態は好ましくありません。

 リノベーション事業を拡大していく上で、事業年商2億の壁、事業年商5億の壁、事業年商10億円(=到達形)の壁があると言われています。経営者、事業責任者の方はそれぞれの段階、局面での壁を越えていかなくてはなりません。

・立ち上げ期

 集客装置でもある店舗が1店舗のフェーズです。事業年商は1億円、上限で2億円程度の時期です。この時期は経営者個人の頑張りで2000万円級のリノベを5~10件受注する段階です。営業現場第一戦で活躍される時期です。初回面談は社員だったとしてもクロージングは社長が登場するような状況です。リノベ5~10件という実績は社長のマンパワーと、各顧客接点で整合性、一貫性のあるアウトプットなどマーケティングのポイントを押さえることで十分可能です。

・展開期(多店舗化スタート)

 社長のマンパワー依存の時期から、右腕の社員が存在し機能しはじめると、社長は営業現場から離れて、マーケティングや新店舗の立ち上げなどに従事します。モデルハウスなら、物件候補地を探したり、現地確認し見極めたり、売却と建築コストのバランスを考えたりします。1店舗目で蓄積しルール化したノウハウがあれば、多店舗化のリスクは軽減されて比較的スムーズにオープンできます。一方で、新たな集客装置が新鮮な時期は集客増大しやすいので、右腕社員に業務が集中します。業績拡大する一方で、3ヶ月ほぼ休みなしという例も珍しくありません。解決策としては、右腕の次を担うスタッフの存在です。各社員の役割を明文化したり、評価制度(特に定性評価)に連動させたりすることが必要になる時期です。

・組織化(マンパワー依存度軽減)

 社長、右腕スタッフのマンパワーに依存する経営から、次のスタッフが機能するフェーズへ進んでいくことで、事業年商10億円が視野に入ってきます。通常、この時期は銀行も協力的で資金提供もスムーズになることが多いです。すべてとは言いませんが、新築の会社から自社へホームページ経由で中途採用の応募が来ることもありますが、新卒採用に比重がシフトするのもこの時期と言われています。社長の役割としては、全社(各店舗)の中長期計画の立案、予実管理、コストコントロール、社員が増えるため理念が浸透する取り組みなどがテーマとなります。

 まずは、自社がどのフェーズにいるのか、課題と解決策を見据えることをおすすめします。資金力、ビジネスモデル力、マンパワーで業績拡大する膨張でなく、社内整備を進めながら業績拡大する持続的な成長を目指すべきです。

 ホームページやチラシは模倣できても、磨き上げたオペレーション、蓄積した現場判断力などの模倣困難性がある上に、さらに業績拡大により、ホームページ上ではリノベーション実績が50件70件と増えていきます。旗艦店、モデルハウス、施主宅見学のドミナント戦略で地域ブランディングも構築でき、後続の競合企業が追随するハードルは限りなく高くなります。市場が成熟すると1番の会社にリノベーションの依頼が集中します。

 地域一番のポジションをぜひ目指しましょう。

この記事を書いた人

コダリノ