リノベーションオブザイヤー過去3年からつかむリノベーションの潮流

 リノベーションオブザイヤー2021の表彰式をYouTubeLiveで視聴しました。

 リノベーションオブザイヤーは800社超のリノベーション協議会会員を対象に1年を代表するリノベーション作品を選定する表彰コンテスト。今年は228点から62作品がノミネートされ、審査員から各賞が選出されます。最終審査の評価者はメディア関係ということもあり、なおさら、潮流をつかむ上で押さえておくべきコンテストの一つと言えるでしょう。

 早速、最も時代を映していると言える過去3年のグランプリ作品のタイトルを見ていきましょう。

・2021年 災害を災凱へ

・2020年 リモートワーカーの未来形。木立の中で働く。住まう。

・2019年 鹿児島断熱賃貸~エコリノベ実証実験プロジェクト~

 2021年は、災害という苦難を乗り越え、凱旋(戦いに勝って帰ってくる)を待ち望む復興シンボルという位置づけ、思いが込められているリノベーションがグランプリとして表彰されました。

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 ここ5年ほど地域活性という大きな流れがあり、2019年は地域風景デザイン賞、地域資源リノベーション賞、エリアリノベーション賞、拠点創出リノベーション等地域にちなんだ選出を受け継ぎながら、性能向上リノベーションが脚光を浴びました。中でも性能向上を定量化した作品が受賞している点、目を引きます。この年はグランプリ、無差別級とも性能向上リノベーションで、さらに特別賞として性能向上リノベーション賞が選定されています(WOODYYLIFEさんが受賞)。

 そして、コロナ禍の2020年はニューノーマルやリモートワークに対して、一気にスポットライトがあたり、グランプリの他にはニューノーマルワークスタイル賞、ニューノーマルライフスタイル賞が選定。性能向上が定着しながら、職住遊学の融合という住まい手の志向をとらえた作品がオンパレードです。そして、2021年は、前述のグランプリ、無差別級(地域参加型の文化発信基地局)、さらに新型コロナウィルスがマーケットドライバーとなり加速した地方回帰にあと押しされるかたちで地域貢献リノベーション賞、地域資源インテグレート賞、ローカルエナジー賞など改めて地域活性に通じる賞が設定されている点、興味深いです。

<印象に残ったキーワード(近年の審査員コメントより)>

・性能向上の定番化(性能向上は必要条件)

・性能と個性+経済性の両立

・リノベーションは困難に対応しながら、進化してきた

・自己実現と社会課題解決

・自己裁量権(自由なライフデザイン)の拡大

 過去3年の表彰のテーマ、表彰されたリノベーションから、性能向上は類似化ポイント(当たり前)で、プラスαの要素が時代とともに変化していることが伺えます。

 WOODYYLIFEさんは今年、地域貢献リノベーション賞を受賞し、2019年も性能向上リノベーション賞を受賞。キラリと光る二石を投じ、業界に大きな影響を与えています。評価者がメディア関係者ということもあり、美観性(写真のクオリティ)、新規性、時事性といった着眼点になる傾向がある中、社員が「豊かな暮らしをサポートする」「地域社会に貢献する」といった理念を共有し、理念が練り込まれた建物が評価された点、敬意をいだくと共に、私はリノベーション事業の立ち上げから関わっていることもあり、感慨深いものがあります。

 今後は、会社の存在意義に一貫したリノベーションへ、その会社ならではの提供価値をブレることなく発信し、共感、支持を集めるというかたちがさらに重要になってくると考えています。

 以上、今回はリノベーションオブザイヤーが写し出すリノベーションの変遷について解説しました。時代を読み解くヒント、自社が打ち出すべきコンセプトを考えるきっかけとしていただければ幸いです。

この記事を書いた人

コダリノ