YKKAP vs LIXIL 戸建・性能向上リノベーション事業比較

 今回は性能向上リノベーションを推進する2大メーカーについて以下にまとめます。

YKKAP

・都内に断熱性能を比較体感できる施設を開設(法人向け)

・5年ほど前から年4~5棟のペースで性能向上リノベーション実証プロジェクトを推進(アルティザン建築工房、トミソー、リビタ、プレイス・コーポレーション、エコフィールド、アイジーコンサルティング、リューケンハイム、平安建材、フォワードハウジングソリューションズ、マエダハウジング、住空間設計、マツワ、ループスアーキテクト、銀杏開発といった地域のリフォーム・リノベーション・不動産会社等とコラボ)

・性能はHEAT20G2グレード、耐震等級3相当を最高基準とした3段階の性能基準を設定、いずれかの基準に則したリノベーションモデルハウスを開設

・断熱性能(Ua値や光熱費)、耐震性能(上部構造評点)を算出し、それぞれの性能向上を実証することを重視、耐震は81通りの改修パターンがあり、プロジェクトによっては日照、採光、通風も可視化している

・「APWシリーズ」、耐震PR商材として「FRAME(フレーム)Ⅱ」をモデルハウスで採用

・エリア別のYKKビルダー交流会の他、2021年10月より「性能向上リノベの会」を発足、11月初旬より会員向けガイドブック(約80ページ)を加盟企業に配布

LIXIL

・東京と大阪に断熱性能を比較体感できる「住まいStudio」を開設(工務店、リノベーション会社との同行によりエンドユーザーも体感可能)

・2019年10月、宇都宮に築25年リノベーションモデルハウスを開設(LIXIL主導、ERAがバックアップ、ZEH相当、IoTも導入)、その後売却※栃木県は冬季死亡増加率が全国1位

・地域工務店18社がモデルハウスをシェアする形式で、18社に対して平行して営業、プレゼンのスキルアップ研修を実施(利用は予約制でLIXILショールームから送迎するかたち)「集客面が課題だった」という声もあり。

・関連商品としては、SWリノベ版(2021年5月~)、「まるごと断熱リフォーム」(2021年10月~)、さらに「サーモス」シリーズを今冬大幅刷新

・LIXILリフォームショップとして「ここちリノベーション」「さがすリノベーション」を展開(全国550社)、加盟店では石山工務店、竹内建設、田村産業(SW工法)、丸和住宅、セイズ、ユニテ、森住建、古川製材、岡島ハウス産業、池尻殖産、リノベイト、エコワークスなどが独自でリノベーションモデルハウスを開設(特に竹内建設とエコワークスはTOP2企業として加盟店の注目を集めている)。

まとめ

 各社の体感ショールームに訪れると、断熱性能に対する強い意気込みを感じます。YKKAPは現状、性能向上の実証が主目的の印象が強い点、コラボ企業はリノベーション工事の案件をいかに確保し受注するかという建築系の会社と、不動産流通にいかに乗せるかという不動産系の会社に二分される傾向もある中、断熱と耐震の性能向上という明確なコンセプトを活かし、次のステップとしていかに事業化させるか「性能向上リノベの会」を通じたアルティザン建築工房(リノベ実績約200棟)等ベストプラクティスの共有、再現性のあるノウハウ提供がカギになりそうです。

 一方、LIXILは宇都宮のシェア型モデルハウスを他のエリアに横展開する動きは見られず、SW工法リノベ版もスケルトンリノベへの対応はこれからという声もあります(カバー工法は関東では横浜市金沢区、南区あとは関西方面で実績あり)。LIXILリフォームショップ各社のリノベーションモデルハウスも、先導的な取り組みをする一部の会社を除くと、デザイン重視で性能訴求は弱い例もあり、性能追求かデザイン訴求か、それとも両方なのか、今後のコンセプトと、専門業態を前提にした整合性のある全体設計の構築がカギになると見ています。

 私のクライアント様においてもYKKAP実証プロジェクトが複数控えており、社会的意義という同じベクトルのもと、それぞれの強みを活かしながら、業績貢献に努めてまいります。

※写真は首都圏某所(SWリノベ版施工現場付近)で筆者撮影

この記事を書いた人

コダリノ